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こんにちは。名張市にある大学受験、高校受験のための学習塾名張理数研です。今日も小論文チャレンジです。

ではどうぞ・・・

 

芸術とは何か。美を何らかの形で表現することである。では、美とは何か。これは極めて主観的なものにも思えるが、実は人は規則性の中に美しさを感じるのではないか。すなわち、芸術とは規則そのものであり、規則なくして存在しえないように思う。

ここでいう規則とは、芸術的な表現における作法のことを指す。例えば、俳句であれば五七五の型がその一つである。「古池や蛙飛び込む水の音」という有名な芭蕉の句の趣深さは、俳句の型なしには成立しない。仮にこの世に俳句が存在しなければ、この芭蕉の句はただのつぶやきであり、今日まで語り継がれるようなものにはならなかっただろう。また字余りや字足らずの技法は俳句の厳格な規則があるからこそ際立つのである。

たしかに現代芸術の中には、一見するとこれまでの枠組みにはとらわれない自由な発想のものも少なくない。では、それらがこれまでの芸術の規則を完全に無視したものであろうか。決してそうではないはずだ。華道や歌舞伎などの日本の伝統芸術は時代とともに変化はしているものの、基本型は決して崩していない。「規矩作法を尽くして破るとも離るるとも本を忘るな」利休の言葉であるが、日本の伝統芸術には今もなお広く根付いている。華道や歌舞伎が敷居の高い芸術であるのはそれが持つ規矩作法を我々が十分に認識していないからである。規矩作法を認識していないから、その規則を破り離れたものの何が美しいのか分からないのである。一方で、規則を十分に理解した人がそれを目にしたとき、この作品は素晴らしい。型破りな作品だとの評価を得るのである。規則を知らず、完全に自由に創作されれば、それは型なしと呼ばれる。芸術とは規則があるからこその美しさなのである。

人は規則性の中に美しさを見出す。その規則性を絶妙に破り、離れていくことでその美しさを昇華させる。それではじめてその作品が芸術となるのである。したがって、芸術とは規則性なしには成立しないのである。(810字)